二名小学校の絵⑨
2025年8月17日 14時57分いよいよ色をのせる段階に入りました。とはいえ、子どもたちの水彩画のように、すぐにいろいろな色を塗り分けていくわけではありません。まずは影を描き込むところから始めます。この描き方は「グリザイユ画法」と呼ばれていて、光の当たり方で生まれる陰影を先に描いておく方法です。私は以前、水彩だけの技法だと思っていたのですが、調べてみると油彩やデジタルイラストにも広く使われていることが分かりました。(昨年度の解説もご覧ください。)
https://futana-e.esnet.ed.jp/plugin/blogs/show/15/24/2245#frame-24
子どもたちが扱う絵の具は同じ水彩絵の具ですが、不透明水彩絵の具ですので、明るい色や薄い色から始めて、最後に黒を使うのが一般的です。不透明水彩絵の具は重ねると下の色を隠してしまうため、そうした順番になるのだとか。(このあたりの説明は昨年度と同じです。)私が使っているのは透明水彩絵の具です。部分、不透明水彩を入れることもあります。
影の部分にはアイボリーブラックを使い、そこにプルシャンブルーを少し混ぜてみました。黒一色よりも深みが出て、いい雰囲気になります。この段階は下書きほどではないにしても時間がかかります。下書きと合わせると、やはり30~40時間くらいにはなるでしょう。でも、この工程をしっかりやっておけば、後の彩色はぐっと短く済みます。
今回は校舎の窓から描き進めることにしました。近くの窓は中の様子まで細かく描く必要があるので、まずは遠くの窓からスタートです。実際には、窓の中までこんなに見えるわけではないのですが、立体感や奥行きを出すために、うっすらと見える写真や、窓が開いているときの写真を参考に描き加えています。ちなみに、窓の下二枚分は、校舎ができた当初はすりガラスだったそうです。そうした発見も絵を描く楽しさの一つですね。
窓を描いているうちに、運動場に生えている木も必要になったので、そちらも部分的に描きました。太い幹と大きな葉を見ていると、街路樹によくあるプラタナスではないかと思います。校舎と木が一緒に画面に入ると、少しずつ風景らしくなってきます。